研究発表抄録 |
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001 | 日本医用画像管理学会 | |
医用画像情報管理士の役割と課題 | ||
池田 龍二 | 熊本大学医学部附属病院 医療技術部 診療放射線技術部門 | |
【概要】平成17年3月27日に第1回の医用画像情報管理士認定試験が行われ、平成18年11月26日の第3回医用画像情報管理士認定試験においては国際専門放射線技師認定機構が認定するMedical Imaging Information Administrator認定試験として実施された。このように医用画像情報管理士としての役割が国際的にも共通の認識がもたれる今、医用画像管情報理士の現状の役割を再確認し、さらに課題について報告する。 医用画像情報管理士の役割として、@システム設計,Aシステム導入,Bベンダーとユーザ間の意見調整,Cシステム運用,Dシステム管理,Eセキュリティ管理,Fユーザ管理,G部門内外の問い合せ対応など業務は多岐にわたる。そのため、これらに対応するためにはコンピュータなど情報システムに対する一般的な知識が必要とされると共に、DICOMやIHEなど医療に特化した専門的な知識も必要とされる。特に平成20年度の診療報酬改定により、各施設のフィルムレス化への移行は急速化している。そのため、さらに医用画像情報管理士の必要性が認識されてくると共に、持っている知識をフル活用し、貢献できるよう努めなめればならない。 医用画像情報管理士としての課題も山積みである。管理者はシステムを常に安定に起動させる為のシステム管理を行い、医用画像表示装置については、「医用画像表示モニターの品質管理に関するガイドラインJESRA X-0093」に則って不変性試験を行わなければならない。また、システム障害等が発生した場合には早急に対応し、いかにダウンタイムを短くするかが重要である。しかし、現場で常に専門に医用画像情報管理を行っているところは少なく、トラブル時の人的配置を含めて施設内での運用につて検討が必要である。また、システム構築時のモニタの選定や可搬メディアの取扱など明確な指針がなく、管理者にとって頭の痛いところである。これらの課題を解決するための一つの手段として情報収集は必須である。如何に短時間で効率的に有用な情報を収集できるかも医用画像情報管理士が取得しなければならない課題である。 日本医用画像管理学会は、今年創立5周年を迎えた。これまで学術大会やセミナーを開催し、基礎となる部分と最新情報を交えながらの情報提供を行ってきた。さらに平成20年2月にはシステム管理の実践に即した内容に重点をおいた中級セミナーを開催した。本セミナーでは通常の講義の他にグループディスカッションやプレゼンテーションといったプログラムを設けた。本学会では今後、ホームページでの情報提供の充実や学術大会・セミナー等も継続して企画している。 本発表が参加頂いた皆様の医用画像管理に何らかの役に立てば幸いである。 |
002 | 日本放射線カウンセリング学会 | |
課題と今後の方針 | ||
三樹 陽子 | 特定医療法人泉和会千代田病院放射線部 | |
【概要】 放射線被ばくに関する相談は心理的要素を多く含んでおり,被ばくの影響の説明だけでは解決しきれないケースもあることから,本会ではカウンセリングと融合させ,より効果的に解決できるような研究・調査・教育を行うために発足した.当初は,診療放射線技師(以下「技師」とする)と臨床心理士とのコ・ラボレーションを計画していたが,「放射線」という専門性の高い分野であることから,臨床心理士には敬遠される傾向にあり,技師からも特殊なイメージを持たれているようで,なかなか会員が増えない現状がある.活動したくてもままならない,そんな活動が低迷している学会だから入会者も増えない,という悪循環に陥っている.だが,来年度には放射線カウンセラーの認定を開始する予定であり,放射線カウンセラーが多く誕生していけば,現状を打破し,発展的な活動ができると期待する. |
003 | 日本放射線公衆安全学会 | |
日本放射線公衆安全学会の活動について | ||
佐藤 洋一 | 社団法人 山梨勤労者医療協会 甲府共立病院 放射線室 | |
【概要】本学会は、日本放射線技師会の「学会等の設置規定」に基づいて平成15年に設立され、放射線による公衆への危害を防止するための調査研究および技術開発、ならびにその成果の普及を目的として活動を行っております。設立時の情勢として、放射線治療分野での過剰・過少照射事故や、IVR長時間透視による放射線皮膚障害の発生等が報道され、新聞では「がん3.2%診断被ばくが原因」とLANCET論文の記事が掲載されるなど医療被ばくに国民の目が向き始めた時期でした。まさに診療放射線技師がこれらの諸問題についてどのように取り組んでいくのかが問われる時期といっても過言ではないでしょう。 このような時代背景の中で設立された本学会も今年で創立5周年を迎えました。これまでの活動実績を報告します。 研究活動としては日本放射線技師会よりの委託研究を中心に行ってきました。「医療被ばく低減施設認定システムの策定(現:日本放射線技師会事業 医療被ばく低減施設認定)」や「医療被ばくガイドラインの改訂(現:日本放射線技師会 医療被ばくガイドライン2006)」等があります。 講習会活動では、組織・臓器線量の把握から評価、また、漏洩線量測定としゃへい計算といった幅広いテーマにて行っております。年間2回のペースで、これまで8回の講習会を開催しました。 最後に出版事業についてですが、2007年10月「医療被ばく説明マニュアル 患者と家族に理解していただくために」を発刊しました。被ばく説明における本学会のスタンスである被ばく線量を線量別に3つのレベルに分けて評価・説明することから解説しております。また2008年4月には「医療従事者のための医療被ばくハンドブック より良いインフォームド・コンセントのために」を出版しました。放射線検査をオーダする医師に、検査の正当化のために活用してもらうこと、また診療放射線技師や看護師が患者への説明に活用してもらうことを目的とした書籍です。 会員数400名を超える学会ですが、一人ひとりの力を会務に活かしていることは設立当初より変わりありません。会員資格としては正会員・準会員・法人会員の3資格がありますが活動面においては区別する事なく、会員皆様の意見・力を求めております。 是非、皆様もこの機にご入会くださいますようお願いいたします。 |
004 | 日本放射線技師教育学会 | |
日本放射線技師教育学会の基本方針と今後の活動内容 | ||
児玉 直樹 | 日本放射線技師教育学会 副会長 | |
【概要】日本放射線技師教育学会は、診療放射線技師教育に関する調査研究の充実発展ならびにその成果の普及を目的として、日本放射線技師会理事会の賛同のもとに2008年2月に設立されました。 少子高齢化を進むわが国において、国民の健康を守るべきわが国の医療制度は大きな転機を迎えています。疾病構造の変化や人権意識の高まりもあり、医療の仕組みは大きく変化せざるを得ない状況です。このため、時代のニーズにあった教育内容に修正していく必要に迫られており、学生が市民を主体に捉え、患者さんや住民に直接触れ合う全人的な教育が必要になってきています。そのため、本学会は次のようなことを目指します。
1)診療放射線技師養成機関、医療機関などにおける優れた取り組みを学び合うこと |