研究発表抄録 |
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001 | CT検討会 | |
司会進行 馬場 仁 | 九州大学病院 医療技術部 放射線部門 | |
【概要】第61回CT検討会を開催いたします。各メーカのCT開発の流れは、1列から64列CTまではほぼ同じでしたが、最近は、そのまま多列化を進むメーカと異なる特徴を持った装置を開発するメーカに分かれているようです。今回は、それらの最新装置を導入した2施設の使用経験を聞き、今後の参考にしたいと思います。 <プログラム> 1.最新CTの使用経験 1)シーメンス SOMATOM Definition (Dual Source CT)の使用経験 長崎大学 福田 徹 2)東芝 Aquilion ONE (320列)の使用経験 神戸大学 小西 稔 2.各施設の問題点の検討 |
002 | MR研究会 | |
MRIの品質管理 | ||
今井 広 | シーメンス旭メディテック株式会社 マーケッティング本部アプリケーショングループ | |
【概要】昨年発行されたIEC62464-1について述べる。この規格にはMRI装置の性能評価方法について記述されている。現在、本規格をもとにJIS規格化が進んでおり、今後性能評価の基準となることが考えられる。 対象は受け入れ試験における品質保証と不変性試験における性能補償となっている。ただし、ディフュージョンやパーフュージョンなどの特殊な撮像や4T以上の装置は対象外となっている。また、あくまで装置の性能評価が目的であるので、臨床画像は対象としていない。 性能評価項目として、信号雑音比(signal-to-noise ratio:SNR)、均一性(uniformity)、スライス厚(slice thickness and slice profile)、歪み(geometric distortion)、空間分解能(spatial resolution)、ゴーストアーチファクト(ghosting artifact)の6項目が挙げられている。本規格では各評価項目に対して1つの測定方法のみ示されており、Annexの中に代替案が示されている。それぞれの項目について、ファントムの基準、撮像条件、評価方法について解説する。なお、このIEC規格においてもパラレルイメージングは対象としていないが、アレイコイルのSNR測定に関しては参考文献が記述されており、補正を行うこととなっている。 これまで、MRI装置の性能評価ではNational Electrical Manufacturers Association(NEMA)から発行されているNEMA Standards Publicationを参考に行うことが多かったと考えられる。性能評価項目が異なることや、使用するファントムが異なるなど、NEMAとIECの違いについても述べたい。 |
003 | 放射線治療研究会 | |
放射線治療機器管理における医療法ならびに診療報酬改正の概要と具体的な対応 | ||
吉浦 隆雄 | 産業医科大学病院 放射線部 | |
【概要】今日、急速な少子高齢化の進展、グローバル化に伴い医療社会は急激な変革期を向かえ、診療放射線技師を取り巻く環境は大きく変化し、その役割の重要性が法体系の中で求められています。それは、「がん対策基本法」と「良質な医療を提供する体制の確立を図るための医療法等の一部を改正する法律」いわゆる改正医療法です。 「がん対策基本法」は、平成18年4月1日付で厚生労働省から施行され、がん検診の質の向上やがん医療水準の均てん化の促進などが骨子となっています。とくに放射線治療専門放射線技師に関連して、がん治療の向上のために専門的な人材育成と品質管理の実施とその果たす役割が指摘されています。 また、「改正医療法」は、平成19年4月1日付で厚生労働省からが施行され、国民の医療に対する信頼を確保し、質の高い医療サービスが適切に提供される体制を確立するためや医療の安全を確保するための措置に重点が置かれています。とくに、1)医療機器の安全使用を確保するための責任者の設置、2)従業者に対する医療機器の安全使用のための研修の実施、3)医療機器の保守点検に関する計画の策定及び保守点検の適切な実施、4)医療機器の安全使用のために必要となる情報の収集その他医療機器の安全確保を目的とした改善のための方策の実施、について医療機関に義務付けられています。 さらに、平成20年度診療報酬改正においては、がん医療の中で重要な役割が期待されている放射線治療について、放射線治療機器の保守管理、精度管理、及び治療計画策定の体制について評価を行い、質の向上を図ることとしています。また、療養生活の質の維持向上を図るために、外来で放射線治療を行う体制を整備し、技術の進歩により有効性が明らかになった新しい放射線治療を保険導入することとしています。 医療機器管理と診療報酬は、密接な関係を持っており、安全使用のための研修、保守点検計画の立案や保守点検の適切な実施、安全使用のための情報収集や安全確保のための改善実施が、医療機関で機器管理として適切に実践されているかを判断し、その結果を踏まえ診療報酬として評価されるものであります。 放射線治療機器の保守管理は、診療放射線技師とくに放射線治療専門放射線技師の業務そのものであり、この改正医療法や診療体制に対応していくために、高度な専門性を発揮して適切な医療を実践していくことが不可欠です。 今回、放射線治療機器管理における医療法ならびに診療報酬改正の概要と具体的な対応について解説します。 |